【弁護士が解説】遺産の使い込みが発覚した場合の適切な対処法
自分以外の相続人が知らない間に相続財産の使い込みをしていた場合、自身の取り分を確保できるのかどうか不安を覚える方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、遺産の使い込みが発覚した場合の適切な対処法について解説していきたいと思います。
遺産分割協議を行う
遺産の使い込みが発覚した場合、まずは使い込んだ相続人と直接話し合って使い込んだ遺産の返還を求めます。
その際は、調査の際などに取得した次のような証拠を示さなければいけません。
- 被相続人の預金口座の取引履歴
- 被相続人の株式の取引明細書
- 被相続人所有の不動産の売買契約書
- 賃料が入金されていた被相続人名義の通帳、取引明細書
- 使い込みが行われた時期における被相続人の介護記録、入院記録、認知症の診断書
遺産の分割前に遺産に属する財産が処分されても、共同相続人全員の同意があれば、その処分された財産も分割時に遺産として存在するものとみなすことが可能です。
この場合、使い込みされた財産も遺産に含めて、遺産分割をすることが可能になります。
また、遺産の使い込みをした相続人の同意は不要とされているため、他の相続人全員が同意すれば、使い込まれた遺産も計算に入れて遺産分割をすることができます。
調停・訴訟の提起
使い込んだ相続人と直接話し合いをしても使い込んだ財産の返還に応じないなどの場合、訴訟の提起をすることが考えられます。
この場合の訴訟の形態については、不当利得返還請求訴訟か、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟となります。
不法行為とは、故意や過失によって他人の権利を侵害することを指します。
遺産の使い込みを行った相続人は、他の相続人の遺産を相続する権利を侵害したといえるので、不法行為にあたります。
訴訟で勝訴することができれば、遺産を使い込んだものは、裁判所から使い込んだ遺産の返還や損害の賠償を命じられますので、相続人は各自の法定相続分に応じて使い込まれた遺産を取り戻すことができます。
まとめ
今回は、遺産の使い込みが発覚した場合の適切な対処法について確認していきました。
遺産の使い込みが発覚した場合、当事者間で解決をするのは困難な場合があります。
遺産の使い込みトラブルについてお悩みの場合には、弁護士に相談することを検討してみてください。
今西法律事務所が提供する基礎知識
-
相続人の中に認知症の...
相続人の中に、判断能力のない認知症の方がいる場合、相続手続きにどのような影響を及ぼし、また遺産分割協議などはどのように進めればよいのでしょうか。この記事では相続人の中に認知症の方がいる場合の相続手続きの進め方について解説 […]

-
自筆証書遺言と公正証...
■自筆証書遺言の作成方法自筆証書遺言は、遺言者(遺言する人)が手書きで作成する遺言です。自筆証書遺言が法律上の効力をもつためには、①遺言全文、②日付、③氏名を遺言者が手書きで記載し、④押印しなくてはなりません(民法968 […]

-
兄弟の相続トラブルで...
ご両親がお亡くなりになった場合など、その子どもは法定相続人となります。その子どもが兄弟姉妹であるときに、彼らの間では相続トラブルになるケースがあります。このトラブルがもつれ、絶縁状態になってしまうこともしばしばあるため、 […]

-
不動産の生前対策
■遺言書の作成相続トラブルで最も多いものの一つが、遺産分割協議でのトラブルです。遺産分割協議では相続人全員の合意によって相続財産の分配方法を決定しますが、相続人の間で利害対立が生じやすいため、協議が難航することも少なくあ […]

-
不動産を相続する方法
遺言書が作成されている場合、誰が何をどれくらい相続するのかは、遺言書の記載によって決まります。これに対して、遺言書が遺言書が作成されていない場合は、被相続人との続柄に応じて、民法の定める割合で相続することになります。以下 […]

-
相続人関係図の作成
相続人関係説明図とは、被相続人(亡くなった方)と相続人との関係を表す、家系図のようなものです。 ■相続関係説明図の必要性相続関係説明図を作成することで、相続人を一目で把握し、確定させることができます。さらに、相 […]

よく検索されるキーワード
弁護士紹介
座間市の地元密着型の法律事務所です。
当ホームページをご覧いただきありがとうございます。 私は神奈川県座間市を中心に、相続のご相談を承っています。
相続は一生に何度も経験することではないからこそ、相続に関する知識がない方がほとんどです。1人で解決をしようとすると、思いがけないトラブルとなり、取り返しのつかない事態に発展することも多くあります。
相続問題でお困りの際は、一人で悩まずお気軽にご相談ください。 どうぞ、よろしくお願いいたします。
- 所属弁護士会
- 神奈川県弁護士会
- 所属委員会
-
犯罪被害者支援委員会
子どもの権利委員会(付添人拡充部会)
事務所概要
| 事務所名 | 今西法律事務所 |
|---|---|
| 所在地 | 〒252-0011 神奈川県座間市相武台1丁目38-3 |
| 電話番号 | 046-244-3290 |
| FAX番号 | 042-705-9782 |
| 受付時間 | 9:00~18:00(時間外でも事前ご予約で対応可能です) |
| 定休日 | 土・日・祝日(事前ご予約で対応可能です) |
| オフィシャルサイト | https://imanishi-lawoffice.jp/ |