不動産を相続する方法
遺言書が作成されている場合、誰が何をどれくらい相続するのかは、遺言書の記載によって決まります。
これに対して、遺言書が遺言書が作成されていない場合は、被相続人との続柄に応じて、民法の定める割合で相続することになります。
以下では、遺言書がある場合とない場合に分けて相続手続きの流れを解説します。
■遺言書が作成されている場合
〇遺言書の検認手続き
自筆証書遺言や秘密証書遺言の方式で遺言書が作成されていた場合は、最初に検認手続きを行う必要があります。
検認手続きは、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して申立てを行うことにより行います。
検認手続きを行う前に遺言書を開封してしまうと、5万円以下の過料が発生する場合があるため、注意が必要です。
なお、遺言書が公正証書遺言の方式で作成されていた場合や、自筆証書保管制度を利用していた場合には、検認手続きは不要となります。
〇相続登記
遺言により不動産を相続した相続人は、必要書類を法務局に提出して、不動産の名義変更手続き(相続登記)を行う必要があります。
相続登記の必要書類には、①被相続人の戸籍謄本、②被相続人の住民票除票、③相続人の戸籍謄本、④相続人の住民票、⑤固定資産評価証明書、⑥遺言書があります。
■遺言書が作成されていない場合
〇不動産の基本情報の調査
最初に、相続財産となる不動産の固定資産納税通知書、登記済権利証、登記簿謄本等を取得して、不動産の地番や評価額を確認します。
〇遺産分割協議
遺言のない相続では、被相続人が亡くなった瞬間から、全ての相続財産が法定相続人全員により共有されることになります。
しかし、共有状態のままでは財産の利用・処分が制限されてしまいます。そこで、多くの場合には、遺産分割協議が行われます。
法定相続人には続柄に応じて法定相続分が決まっているため、遺産分割協議では、この割合を前提として遺産の分配方法を決めることになります。
しかし、不動産の相続では、相続財産の大部分を一つの不動産が占めているケースも少なくないため、不動産を単独相続すると法定相続分を超過してしまうこともあります。
そのため、不動産を売却してその代金を相続人の間で分配する方法や、不動産を承継した相続人が他の相続人に対して差額を支払うことにより相続割合を調整する方法も認められています。
遺産分割協議は相続人全員の合意によって成立します。
遺産分割協議が成立したら、合意内容を書面にまとめ、相続人全員で署名押印して、遺産分割協議書を作成しておきましょう。
〇相続登記
遺産分割協議に基づいて不動産を相続する場合、相続登記の必要書類には、
①被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、②被相続人の住民票除票、③相続人全員の戸籍謄本、④不動産を相続する人の住民票、⑤遺産分割協議書、⑥相続人全員の印鑑証明書、⑦相続する不動産の固定資産税評価証明書があります。
また、遺産分割を行わずに法定相続分にしたがって相続する場合には、①被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、②被相続人の住民票除票、③相続人全員の戸籍謄本、④相続人全員の住民票、⑤固定資産税評価証明書が必要となります。
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